ナヌカビ通信 2026.08
梅雨明けでいい天気に恵まれ、青森ねぶたが開幕した。実に世の中は不公平である。地震があり、大雨が降り、酷暑の中で甚大な被害が各地で発生し、人の命を危険にさらしている中青森だけは天国である。日差しは強くてもヤマセで涼しい夏である。観光客は存分に青森ねぶたを楽しんでほしい。
今年も23台の大型ねぶたが出陣した。それぞれねぶた師たちは新しい技法を駆使し独自の世界をアピールした。今年の新しい試みとして、青森ねぶた運行団体協議会が企画した大型ねぶたの原画展が八甲田丸で開かれた。ねぶたの原画(下絵)が一堂に会し公表されることはこれまでなかったので、圧巻であった。それぞれのねぶた師の意気込みがわかり、本番への期待を大いに盛り上げた。来年以降もぜひ開催してもらいたい。
今年も竹浪比呂央が圧倒した感がある。研究生たちスタッフたちの力もあり当分竹浪比呂央の時代は続くと思われる。後に続くのは北村麻子、北村春一であろうが、華美に、華麗に、色使いだけでなくねぶたのバランスもそこそこの域に達しているが何が足りないのか本人が乗り越えるしかない世界である。かつての竹浪比呂央も賞を獲れなかったころ、「審査員たちはなにもねぶたのことわかっていない。」といって酒を飲んだ年を何年も経験していたのである。
竹浪比呂央は己の才能を信じ精進を怠ることなく、スポンサーの応援も得て見事に現在の地位を獲得したのである。ねぶた師としての創造力に、制作技術がどこまで追いつくか、あるいは新しい技術の発見に、想像力が触発されて新たな世界を切り開くのか期待したい。
竹浪比呂央は今年、市P連のねぶたを制作し子供たちにねぶたの楽しみ方などと語り、合わせて制作技術の指導も行うなど大御所としての行動に磨きをかけているように思える。
パナソニックねぶたが50年の参加を機に今年でねぶた祭りから撤退するるとの発表があった。各部門での世話役たちの高齢化で維持するのが困難になったようである。もっと他にも理由はあるだろうがどこのねぶたにもおこりうるねぶた祭りの構造的問題が内包しているようだ。
私たちのねぶたも50年を迎えて同じような問題を抱えている。資材の高騰、人件費の高騰などスポンサ—の理解なくしてねぶたは成り立たない。前ねぶたの数の多さはその反映でもある。ねぶた師たちにはそれなりの報酬が保証されることから決して悪いことではない。100円ねぶたとして50年、自分たちで作り自分たちで運行するを貫いてきた関係者に敬意を称したい。今年の耳なし芳一は他のねぶたにはないおどろおどろした味わいのあるねぶたで秀作といっていいだろう。今年「ガンダムねぶた」が前ねぶたとして運行された。今後何かしらのいい影響がもたらされることを願いたい。
2026青森ねぶたの各賞
ねぶた大賞
JRねぶた実行プロジェクト 北海の雄 [ほっかいのゆう] 竹浪比呂央
知事賞
日立連合ねぶた委員会 吉野山 桜花の別れ [よしのやまおうかのわかれ] 北村春一
市長賞
青森菱友会 破邪顕正 [はじゃけんしょう] 竹浪比呂央
商工会議所会頭賞
あおもり市民ねぶた実効委員会 道成寺 [どうじょうじ] 北村麻子
観光コンベンション協会会長賞
サンロード青森 鈴鹿山の鬼神伝説 吉町勇樹
手塚茂樹は野村昂史を評点で上回り兄弟子としての面目を保った。
北村麻子は清姫での女の情念の恐ろしさが評価されたのだろうか。
ともあれ、天候に恵まれ青森ねぶたはナヌカビを迎える。